2008/05/14

ケ、ケダモノ〜

30年ほど前の作品ですが、「 邪淫の館 獣人 」という映画があります。
フランスの地方貴族の男へ嫁ぐために、アメリカから女の人が訪れます(金髪でややしっかりした骨格)。
映画の冒頭、その女性が馬の種付けの場面を興味深く見つめるシーンがあるんですが(映像では馬のペニスもちゃんと描写してます)、そこでこの女性の内にある欲望が少し垣間みれます。
それから嫁ぎ先の貴族の男というのが、森に棲む獣に犯された貴婦人が生んだ子供なんですが、貴婦人と獣とのセックスシーンは、ちょっとコミカルに描かれているとはいえなかなか迫るものがあります。
最初は貴婦人は獣から森の中を逃げ惑うのですが、ドレスやカツラ(昔は日常的な装飾だったんでしょうか?)をはぎとられ、獣に後ろから突かれているといつしか自分も高まってしまい、獣の精液(量夥しい限り)を吸い尽くすその勢いはついには獣を死に至らしめてしまいます。
常々自分にとっての性の醍醐味は、人間が行為の最中に動物になる一瞬だとおもっているんですが、女性がつい馬の交尾に興奮してしまったり、恐怖さえ抱いた未知の獣を積極的に受け入れたりという様は、そんな理性の枠を超えた部分での性というものをわかりやすく描いてくれているように感じて、みるたびにワクワクムクムクしてしまいます。
※この映画のおしいところは獣がかっこよくないところです。細身の熊ではいまいちパワー不足です。腹上死してどうするっ!
余談ですがハリー・ポッターのハーマイオニー(エマ・ワトソン)って可愛い女の子いますよね。もしあの子の陰毛がけっこうフサフサしていて、お尻の方までつながっていると想像するとちょっとドキドキします。それが何故かはうすうすわかっているんですが、そこらへんはまた次回に。
どうぞよろしく。

「露出系フェチ」ケーススタディ 加世(後)


「マジ?」
加世はもう一度同じように頷いた。メガネのせいでよくわからなかったが、よく見ると右目の目尻の下にほくろがある。それに気づいたらなんだか急に彼女が淫靡なオンナに見えてきた。
「いつもそうなの?」
「履いてない日、多いですね。」
ウエイトレスが来て、テーブルを片付け、デザートとコーヒーをセットし、最後に伝票を置いた。
その拍子にテーブルの隅にあったタバコとライターが床に落ちた。
ウエイトレスはそれに気づき、振り向いて拾おうとしたが、
ぼくは手を挙げ、「大丈夫!」というジェスチャーを示して、タバコとライターを自分で拾った。
もちろん、テーブルの下の加世の下半身をちらっと確認して、元の体勢に戻った。
「見たでしょ?」
「ん?まあね。」
「見えた?」
「いや。角度が違ってた。」
「じゃあ、もう一度拾っていいよ。」
ぼくは、かなり気まずかったが、何かを拾う素振りをしてもう一度テーブルの下に顔を運んだ。
加世のテーブルの下は大胆にも、ぼくに見えるようにこちらの方向に脚を向け、開いていた。パンストは履いてなく、暗いながらもダイレクトに確認できた。
「今度はちゃんと見えたよ。」
加世はぼくと目を合わさず、うつむいたまま頷いた。恥ずかしがっているのだろうか。確かにぼくにわざわざ見せるようにあのように脚を開くことは、仮に店内の誰にも気づかれないとしても、ぼくにその心理を読まれるだけで充分恥ずかしいはずだ。ぼくはわざとらしく訊いた。
「あれ? 恥ずかしいの?」
一度頷いてから、こっちを向いた。急に彼女の顔つきは変わっていた。
いままで、割とあっけらかんとした性格の彼女だと思っていたのだが、
メガネの奥の目がじんわり潤み、目が合ったのは一瞬で、また下に視線をずらした。
見かけでは完全にS系に見えるのが、実は反対なのかもしれない。
「加世さんて、薄いね、毛が。だから丸見えだったよ。」
彼女はこの言葉でさらに下を向くような反応をした。
「加世さん、加世さん。」
「はい?」
「加世さんは、電車の中でどうやってしているの?」
「…ううん、バッグとかをここに置いたりして…」
「それで?」
「え、それで、まあ、手で。」
「ふうん。ちょっとやってみてよ。」
「え?今ですか?」
「うん」
加世は少し考えてから、右横に置いていたバックを太ももの上に乗せた。
「じゃあ、ちょっとしてみて。他の人にはバレないようにさ。」
とぼくは彼女に行為を促した。
加世は頷いて、周りを見回してから右手をそこに忍ばせた。それはテーブルの上からでも腕の動きでわかった。
ぼくは、ボックスシートの背もたれにゆったりともたれ直すように姿勢を変え、さっき運ばれたきたコーヒーを落ち着いて飲みながら見学することにした。
加世の視線は下に向いたまま、指先だけを動かしているようだ。
ぼくは気になって、再びテーブルの下から見てみると、確かに指はソコを触っている。
本当にしている。
顔を上げると、また一瞬目が合った。目つきは完全に変わっていた。女性は興奮するとだれでもそうなる。
気のせいだろうか、首の付け根あたりが、ほんのり桜色に染まっているように見える。
呼吸が上がり、けれど声を殺している。
小さな声で訊いてみた。
「気持ちいい?」
目をぼくに合わせながら頷いた。その目がなんとも愛おしい。まるで素直なこどものようだ。
確実に感じている。そして何かをぼくに伝えたいようだ。
「ん?どうした?」
何か言っているみたいだが、聞き取れない。
「どうしたの?」
どうも彼女は「イク」と言っているみたいだった。まだ5分ぐらいしか経っていないというのに。
「いいよ、ちゃんと見ててあげるから。」
それから10数えるくらいの時間で、彼女の両肩がぐーっと上がってきた。
瞑った目をさらにぎゅうっと瞑り、体全体に力が入っている。
見ているこっちは、周りに気づかれやしないかと周囲の状況を確認した。
すると彼女は体の中心あたりをククッと2、3度微妙に振わせてから、体全体が固まったしまった。息も止まっている。
イッたのがわかった。
ぼくもジーンズの中が完全に硬直状態になっていた。
しばらく沈黙が続き、彼女は深い呼吸を一度だけして、乱れていた体勢を元に戻した。
場を繕うように、メガネをかけ直しながら言い出した。
「またイッちゃった。」
「スゴイよかったよ。
そういえば、さっきさあ、電車の中でバレてないって言ってたけど、たぶんバレてると思うよ。」
「ええ、やっぱりぃ?」
「ねえ、右手見せて?」
彼女は右手をテーブルの上に差し出した。
ぼくは両手でその手をつかんで広げると、中指が第一関節まで完全にすっぽり濡れていた。
掌をひっくり返してその指をじっくり見ると、
濡れた爪の肉との生え際あたりに細かい泡で白濁した液体が溜まっていた。
ぼくがそこを凝視していると、彼女はその手を引っ込めようとしたが、そこは力で引きとめて、
さらにこっちへ引き寄せ、鼻に近づけてその部分の匂いを嗅いだ。
「やだあ!」と言って彼女はさらに強く手を引き寄せようとしたが、こっちの力の方が強い。
「んん?かなりHな匂いがするよ。」と、敢えて変態ぽく言ってやった。
「恥ずかしい、やめて。」
手を離すと、彼女はその手をさっと引っ込めたが、
再びその中指を自分の鼻に運び、その匂いを確かめた。
「あ、ほんとだ。んん、ちょっとだけね。」
とごまかすように、とっさに言葉を重ねた。
「若村さんも興奮しちゃったでしょ?」
「ああ、正直ビンビンだよ。」
彼女は一瞬照れくさそうな表情してから、落ち着きを取り戻すかのようにぬるくなったコーヒーを2,3口飲んだ。
「加世さん、すごいね。ぼくはこんなところでこんな経験したことないよ。」
「私もこんな形でするのは初めて。」
「こんど、また会おうよ。」
「ん?どうしようかなぁ?」
と勿体ぶった言い方をされたが、結局互いにケータイのメルアドを交換することができた。
会計を済ませ、二人は店を出た。
彼女はクルマで来たと言うので駐車場への階段を降りた。品のいいコンパクトなプジョーだった。
ミニを履いた彼女の脚が、彼女のクルマのドアの開口部にスルッと入っていくのが妙に様になっている。
彼女はウィンドーを下げ、笑顔でぼくに手を振り、ファミレスのゲートから通りに出て行った。
彼女は最初に会った時の印象の彼女にすっかり戻っている。
ルックスがいいので表面的に露出系と思いがちだが、
実は頭がいいが故に仕方なく生じてしまうM系な変態の素質があると思う。思い込みではないと思うのだが、また彼女とは会えるような気がする。彼女がまだ知らない彼女自身の変態の可能性をぼくが引き出せると思うし、彼女も何らかの予感をぼくに感じてくれたような、そんな気がするのだ。
彼氏がいるかどうか訊かなかった。今何のバイトを?どんなセックスが好きか?まだまだ知りたいことがある。そして何より彼女は、かなりいいオンナだ。
駒沢通りの信号が青に変わり、紺色の彼女のプジョーは完全に視界から見えなくなった。
さっき嗅いだ中指の、あの特有の匂いが、まだかすかに鼻の奥に記憶として残っている。