2008/04/24

「ちんちんフェチ」ケーススタディ 真由美(後)


駅から4~5分歩いたところのホテルに二人は入った。
部屋に入り、ちょっとした緊迫感に包まれたまま、
「え~と、それじゃ、ぼく、どうしたらいいかな。」
「そうですね。そしたらズボンを脱いでみてください。」
「シャワーはいいの?」
「シャワーはダメ。先にシャワーを浴びちゃったら、ありのままじゃなくなっちゃうから。
あっ、パンツは私が下ろしてもいいですか?」
と言いながらパンツの裾に手をかけた。真由美は案外冷静な表情をしている。
「やっぱりね。こういう感じだと思ってた。」
「何でわかるの?」
「よくわからないんだけど、喋り方かな。」
「喋り方? 鼻の大きさとかじゃないんだ?」
「あれは全然うそよ。」と言いながら左右上下、
いろんな角度から調べるようにソレを見ている。そしてやさしく持ち上げたりしている。
上のポロシャツと靴下を履いたままでのこの格好は、さすがに恥ずかしい。
「すみません、訊いてもいいですか?」と真由美。
「え、何を?」
「あの、ひとりHはよくする方ですか?」
「ああ、うん。まあ、するよ。」
「どのくらい?」
真由美の目は観察を熱心に続けている。
「週に2~3回かな。」
こんな質問と観察がしばらく続いた。自分のアレは平常時のままだったが、
ときどきフクロの下の方をかる~く撫ぜられたときに、軽く反応してしまった。
「ここが感じるんですか?」
「普段はそんなことないんだけど。。」
このときから、真由美の顔が変わってきたような気がした。
目が少しとろんとして、なぜか最初の地味な感じはしなくて、
どちらかというと妖艶な人の部類に入る気がする。
おかしい。髪も小さくまとまっていたはずなのに、なぜか逆立ってきたような、そんな変化を感じる。
彼女は生唾をひとつ飲んでから、言った。
「大きくなってきましたね。」
「これ見て興奮しますか?」
「はい、まあ。」
「どこに興奮するんですか?」
「こんな風に反応したり、変化してくる過程かな。」
「ぼくのどうですか?」
「正直、好きなタイプです。でも誰のも好きなんで、あまり好き嫌いで見てないかもしれないです。」
「どこが好きなんでしたっけ?」
「こうして目の前で触りながら、あらためて思うのは、この竿の部分の、なんていうの、
男の人の力こぶみたいな硬さ? ん、なんか筋肉とは思えないこの硬さに対して、この先のシリコンみたいな
感触のやわらかさ。この組み合わせがなんともセクシーなのよね。
うまく言えないけど、女の人に入るときに力強くてカチカチでありながら、
先端をちゃんとやわらかくしている、
優しさというか、ほんとの男らしさというか、それを感じると堪らない気持ちになるの。」
彼女の左手は相変わらず自分の唇を触る癖があり、
右手は親指と人差し指はぼくのを静かに丹念に触りながら話をしていた。
さらに気持ちが高揚してきているようだ。風俗でローションつけてゴール目指してゴシゴシ仕事するのとは正反対。
ついに先端から透明な液体が出てきた。
彼女は先端に鼻を近づけ、匂いをかいだ。
「やっぱ匂う?」
「うん。パンツを下ろしたときから匂いはしたけど。」
「臭い?どんな匂い?」
「臭くないよ。オトコの匂いだよ。他に言いようがない。」
「匂いも好きなの?」
「匂いは大事よ。男の人だって下着の匂い、よく嗅ぎたがるじゃない?」
真由美は目を閉じて、先端に表面張力のように溜まった液体をベロですくって、
そのまま亀頭全体に塗るように何度も舐めて伸ばした。
この時点ですでに100%の勃起が30分は続いている状況だろう。
しかし真由美はピストン運動のような動作は決してしなかった。
ただただ丹念に愛すようにやさしく撫ぜ続けた。
「真由美さんも脱いでくれないんですか?」
「それはダメ。だってそうすると大抵の男はセックスに持ち込もうとするでしょ?」
ときおり、手全体で竿をにぎり、にぎる強さを小指から人差し指へとウェーブするような動きをすると、
ピクンピクンと反応してしまう。腰も動かさずに入られなくなる。
「もうイキたい?」
「うん、だいぶ前から。」
真由美は(かわいい)とでも呟きそうな表情で微笑んだ。カフェで会ったあの真由美とは完全に別人である。
そこから出そうで出ないギリギリの状態が20分ぐらいだろうか、続いた。
イキたくて堪らないのだがピストンの動きがないと出ないものだ。
「私、この状態がいちばん好きかも。先がこんなに真っ赤になって、ほら、こんなに大きく張っちゃって。」
真由美の目はうるうるして、息もかなり荒くなっているのがわかる。興奮しているのだ。
きっと下半身も充分濡れていることだろう。
そして、やさしくゆっくりとピストンの動きに入った。触れるか触れないかぐらい優しくにぎり、
まさしく腫れ物に触るかのようにゆっくりとした動き。本当に風俗とは真逆だ。こんなのは初めてだ。
その途端に急にこみ上げてきて、射精に至った。
なんどもそこは痙攣し、普段の2~3倍の量が自分の腹や胸の上に飛び散った。
真由美はその一部始終をほんの一瞬も逃さないように見つめていた。
「イッちゃったね。」
「ああ。」
「気持ちよかったでしょう? …一緒におふろ、入ろっか!」
「え?いいの。」
「うん。」
二人でゆっくり湯船に浸かった。
真由美は喫茶店での地味な彼女とも違う、さっきのベッドの上での妖艶な彼女とも違う、
恋人というか友達というか、いちばん素直な彼女になっている気がする。
彼女はよく喋り、いままでのような緊張感がまったくない日常よくある会話。唇に触る癖もでない。
彼女は自分の趣味を満足させてもらったお礼に、
コトの後に裸を全部見せておふろに入ることにしている、と言う。
控えめな体つきだが、肌はかなりきめ細かくて綺麗だった。
部屋に戻って二人とも服を着ると、喫茶店で見たあの地味な真由美にすっかり戻っている。
「今日は楽しかったです。どうもありがとうございました。私、先に出ますね。」
「こちらこそ、ほんとに。。」
その後に続けて「また、いつか会ってもらえますか?」と聞きたいところだったが、
なんとなく聞けない、元の空気に戻っていた。
たぶん彼女は、次の新しいサンプルを得ることに向けて、
もう歩き始めているような、そんな感じで部屋から出て行った。そして少し遅れてドアが静かに閉まった。

「ちんちんフェチ」ケーススタディ 真由美(前)


ぼくは若村といいます。ちょっとしたアダルトサイトを運営しているのですが、
そのコンテンツ作りのために時々、投稿者に連絡をして取材をすることがある。
今回取材した女性は山本真由美さん(仮称)29歳、都内在住。
真由美さんは東急目黒線沿線のある総合病院の受付・会計の仕事をしている。
彼女の性的趣味は、男性性器自身に非常な興味があること。いわゆる「ちんちんフェチ」だ。
大抵の女性は、初体験前後にその興味が高まるものだが、経験とともに次第に即物的な存在へと変わっていくものである。
ところが彼女は少し違っていた。取材した内容をできるだけリアルに記述する。
・・・・・
目黒駅近くのカフェにて。
「はじめまして。真由美さんですか。」
「あ、はい。」
「電話した若村です。今日は、よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
真由美さんは電話での受け答えで想像した通り、地味でシャイな感じだった。
身長は160ぐらいで、黒髪を小さくまとめ、色白で、スリムな体系、昔の和久井映見に感じが似ている。
ぽってりとした唇をしていて、ちょっとうつむきがちに喋るのだが、
喋り終わる頃にチラッとこちらに視線を上げる特徴がある。
「今日はもうお仕事は?」
「あ、今日はもう終わりました、はい。」
真由美さんは話をしながら、指で唇を触るのが癖らしい。
シャイと感じたのはこの仕草からなのか。でもかなりイヤラシイ感じにも受け取れる。
「じゃあ、早速ですが、電話でお話しした本題について聞いてもいいですか?」
カフェオレを飲みながらうなづいた。
少し声のトーンを下げて質問した。
「いきなり本題ですが、真由美さんは男性の、アソコが好きだってことですが、
それは具体的どんな風に、どれくらい好きなんですか?」
「ん、具体的って難しいですが。…好きですね。
ん…(また唇を触りながら)、とにかく、いろんな人のがまず見たいと思っちゃうんです。
ん、見たいっていうだけじゃなく、むしろ知りたいっていう感じかもしれないです。」
「それは、誰のでもいいんですか?」
「はい。誰でもいいんです。なんか偏りたくないんです。
できれば男性全員のを知りたいような。こどもからおじいちゃんまで。。」
「え、ほんとですか?じゃあ、銭湯の番台とか、いいですよね?」
「あは、そうですね。」(初めて笑った。このとき正直、ちょっとかわいいと思った。
なにか少女の部分が見えた気がした。)
「タイプの男性とか、えーとその、タイプの大きさとかカタチとか、そういうことはないんですか?」
「ないことはないんですけど、それはあまり重要じゃないんです。
結局、顔もそうなんですけど、大事なのは見た目のカタチじゃないんです。
なんていうか、性格というか、人間性というか。
好きになる人って人によって違うかもしれないけど、最終的には金持ちとかイケメンとか、
そういうことじゃないでしょ?
なんていうか、この人と一緒にいると幸せな感じがするとか、ん、うまく言えないけど。」
「でも、こどもからおじいちゃんまでと言うのは。。」
「そうなんですけど、それはもうコレクターみたいな域に達していて、
むしろどれだけいろいろなものがあるのかってことを知りたいんです。
それもカタチのことじゃなく、反応とか、その、イク時の感じとか、その後とか、十人十色なんで。。」
「サンプル収集に近いですね。」
「そうかもしれません。」
「じゃあ、ぼくのも見たいとか。」
「…あぁ、はい。…それはそうなんですけど。」
恥ずかしそう視点をコーヒーカップにずらした。
「だれのでも見たいんです。
仕事で、患者さんの受付をするんですが、ちょっとHモードが出てきてしまうと、
どんな人のズボンにも目が行ってしまい、想像してしまうんです。
そのときいつも、自分ってヘンタイかも、って思うんです。」
「トラウマか何か、あるんですか?」
「ん。(また唇を触る)たぶん、なんですけど。小さい頃、小1ぐらいだったと思うんでけど、
家をリフォームしてるときに半年ぐらいお父さんと銭湯に行ってたんです。
そのとき、見える人すべてのアソコを見て、ひとりひとり違うな、って思って。
それを見るのが楽しみだったんです。で、リフォームが終わって、もっと見たいと思ってたのに、
そこから断ち切れちゃって、それでかな?って思ってるんです。」
「何がいいんですか?というか、どこに興奮するんです?」
「ん、なんか、ひと言で言うと、かわいいんです。人間もひとりひとり性格や魅力が違うように、
あそこもそうなんです。だから、いくら良さそうなモノでも結果的にきらいになるやつもあるんです。
なんだろう、あそこを人格として見てるのかな?よくわかんないんですけど。
だからカタチや性能が悪くたって、好きなやつは好きなんです。」
「ふむ、深いなぁ。
…じゃあさ、これからぼくのを見てくれたりする?ちょっと場所を変えてさ。」
「… それはいいんですけど、Hは絶対しないですよ。私、Hしたいわけじゃないですから。
それを約束してくれるなら。。」
「もちろん。」
(つづく)

はじめに

ほんとに変態はいけないことなのか?
男も女もちょっとだけの変態なら、完璧ノーマルよりもちょっぴり魅力的。とも思う。
それはSEXが子を作るためという単なる機能的なものではなく、
欲望や愉しみを人はそこに求めているから。
しかし、社会的には変態はネガティブである。
もちろん法を犯したらよろしくないことではあるが、
合法の範囲内なら、否、本質的に言えば、
他人様に迷惑をかけなければ、人はもっともっと性という領域を愉しむべきではなかろうか。
食欲で言えば「グルメ」のようなもので、羨ましがられるような存在になってもいいのでは?
そうすれば、自殺を少なくしたり、夫婦を円満にさせたり、
不倫を減らしたり(増やしたり?)、また恋することに積極的にさせたり、
少子化問題にも貢献できるかもしれない。
生きるためのモチベーションとも言える「性」。
ここでは人間の本能的な欲望に、実直に前向きに考えてみたいと思うのだ。
外国のように、性に対して変にオープンになる必要はない。
陰湿な感じがなくなって、カラッとしてしまうとそれはそれである種の興奮がなくなってしまう。
ただ、社会的にではなく個人的に、つまらない常識や観念、タブーにとらわれずに、
自由に個人の性的世界を追求した方がいい。グルメやファッション、あるいは他の趣味と同様に。

ここに紹介するストーリーは、すべてが万人に受け入れられるというものではないが、
少なくても、個人個人が自分の性に対してもっと開放的になってもいい
というメッセージを感じてもらえるはず。
社会的な視点で見れば単なるエロに思われてしまうかもしれない。
だが、変態とは本来、人間の脳を活性化する、あるいは生き物としての
本能を洗練させる崇高な創造行為なのである。